美しい所作

ごきげんよう♡

2016年09月22日 22:20

ある手続きのために、お借りしている物件の印鑑を大家さんに頂きに行くことになった。
代理人である不動屋さんの印鑑は頂いたのだが、大家さんの印鑑が欲しいのだという。
沼津の不動産屋さんの社長が「そっか。自分で行ける?連絡をしておくから。住所は◎◎。木に囲まれている大きな家だから、すぐに判ると思うよ。」と段取りをしてくれた。

当社からもすぐ近く。木の囲い・・・すぐ判った。わぉ!確かに立派
お庭を入って・・・ん?こっち?家が見えるけど、あっちにも家が見える。蔵もある。
玄関には、もちろん今どきのインターホンなどない。木製の引き戸。低い。
「ごめんくださいませ。」大きな声で言ったけど、誰も出てこない。もう一度ごあいさつ。

「あら、ごめんなさいね。」出てきた奥さま。
「先生(不動産屋さんの社長)から話は聞いています。ようこそいらっしゃいました。」と、正座に手を八の字に置いてお辞儀をしてくれた。その姿があまりにも自然で、その所作にハッとする。こんなに美しくお辞儀をなさる女性がいるんだ。

お家の中も素晴らしかった。
立派な梁が堂々としている。床や建具もいい具合に年季が入っている。
「こちらのお家はどのくらい経っているんですか?」
「120年くらいかしらね。古いばっかりで、勝手が悪いのよ。」
「いえいえ。素晴らしいです。こんなお家、住みたくても住めませんもの。」
「うふふ。手入れがたいへん!」

「あらっ。逆さまに押しちゃった 老眼でね、よく見えなくて。」
お茶目な奥さまは、最後までゆったりとしていた。

余裕がある人って美しい。私みたいにバタバタ ガタガタしていないもの。
あのお辞儀は、一寸やそっとでは身につかないわ。

あんな女性になりたいな。そう思って、帰り道はちょっとだけゆっくり歩いてみた。

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