企業主導型保育事業のねらい

ごきげんよう♡

2023年05月08日 22:01

平成28年12月1日から6年間「企業主導型保育事業」に携わって解ったこと。
この事業は、「待機児童対策の費用を企業に負担させること」が目的だった。が私の結論。

企業の働き方にあう運営ができるなどと尤もらしいことを言って始まったこの事業。
でも、最初から「費用を企業に負担させる」ことが目的だった。だから〝事業所内保育施設〟としての位置づけとした。福利厚生費として、どこまで企業が費用を負担できるか?ということを探りながら制度を修正していくのが、国側の目論見だったとしか思えない。

助成金はどんどん削られてきている。いかにお金を出さないかを考えた要綱変更の数々。
保育の質を維持するための会議や、研修に従事した時間は、全て助成対象外となっている。
職員に残業をさせないために、時短の保育士や子育て支援員がリモートで教材作成した時間も、全て助成対象外。
事務員も、もちろん助成対象外。
施設長への要求は高いが、管理者(施設長)加算はない。
令和5年度の事業計画書には「園長が変更した場合は、助成決定を取り消す場合があります。」などという文言が入っているにもかかわらず、要綱には園長(施設長)を置くことを必須とは謳われていない。助成金に絡んでくるからとみる。
助成対象外だけが明確に増え、加算は最小限ないびつな制度になってきている。

未来を生きる子ども達にとって、有効な保育をしようと仕組みを作れば、ことごとく潰され、それも助成対象外となる。保護者も、職員もその価値を認めたメリットしかない保育だった。潰されたことによる子ども達の不利益は計り知れない。

となれば、研修もせず、教材も作らず、会議もせず、子ども達がいる時間だけ保育者の頭数が揃っていればいいだけの施設が費用対効果が一番良いということになる。保育者は何もせず、座って見守りだけしているような託児所レベルで良い。

こんな施設を作っても、設置企業の従業員にも、子どもにも、企業にとっても、全くメリットがない。
今どき、紋切り型の同じような施設をたくさん作って、子ども達にどんな「最善の利益」があるというのだ?
「企業主導型」と言いながら、民間なりのアイディアや工夫を活かした保育が認められないのはどうしてなの?
同じであることが必要な時代はとっくに過ぎ去っている。
多様性の価値観はどこに行った?
今の子ども達が生きていく未来は、もっともっと広く、あっという間に繋がり、孤独で、発信力が必要で、コミュニケーションが活きる世界であるはず。

金を出すから、口も出す?だから、日本はダメになったのではないのですか?

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